2026年の外国人事業法:タイの3つのリストと外国人事業許可(FBL)が不要な18業種
タイで外国資本が過半数を占める事業を計画する際、多くの企業が早い段階で直面するのが、「外国人はタイでどのような事業を行うことができ、どのような場合に事前の許可が必要なのか」という疑問です。
その基本的なルールを定めているのが、外国人事業法(仏暦2542年/西暦1999年、Foreign Business Act:FBA)です。
タイでは、株式の50%以上を外国人が保有する企業は、原則として「外国人」とみなされ、FBAの規制対象となる事業については、3つのリストのいずれかに分類されます。どのリストに該当するかによって、外国資本による事業の実施が可能なのか、事前の許可が必要なのか、あるいは原則として認められないのかが決まります。
そのため、タイで外資系企業として事業を開始する場合には、まず自社が予定している事業内容がFBA上どのように分類されるのかを確認することが重要です。

3つのリスト
リスト1:タイ国民に留保された事業。
リスト1には、外国人による事業活動が原則として認められない9業種が定められています。これらの業種は、必要な許可を取得したとしても、外国人が事業を行うことはできません。
具体的には、新聞・ラジオ・テレビ放送、稲作およびその他の畑作・果樹栽培、畜産、天然林からの林業・木材、タイ領海での漁業、タイ産ハーブの採取、タイ骨董品の取引・競売、仏像および托鉢用の鉢の製造、土地取引が含まれます。事業がリスト1に触れる場合、どのような資本構成をもってしても解禁されません。
リスト2:国益に関わる分野。
リスト2には、国家の安全保障や芸術・文化、天然資源などに関わる業種が定められており、外国人による事業活動が厳しく制限されています。これらの業種について外国人が事業を行うためには、閣議の承認を受けたうえで、タイ側の株式保有要件を満たす必要があります。
対象となる分野は、安全保障(銃器・弾薬・爆発物、軍艦・航空機・軍用車両、国内の陸・水・空の運送)、芸術・文化(骨董品・タイ美術品、養蚕・タイシルク・織物、金・銀・ニエロ・漆器)、天然資源(製糖・製塩、採鉱・岩石の発破・破砕、家具・什器用木材)に及びます。
リスト3:多くの外資系中小企業が申請する分野。
リスト3には、タイ企業がまだ十分に競争できるとはみなされていない21業種が定められています。これらの事業は、外国人事業委員会(Foreign Business Committee)から許可を取得することで、外国人による事業活動が可能となります。
対象となる業種は、会計・法務・建築・エンジニアリングの各サービスから、建設、小売・卸売(いずれも1億バーツ未満)、ホテル(ホテル運営受託を除く)、広告、仲介・代理業、ガイド付きツアー、そして「その他のサービス業」という広範な最終区分まで多岐にわたります。
ただし、リスト3に該当する事業を行うための方法は、外国人事業許可(Foreign Business License:FBL)の取得に限られません。BOI(タイ投資委員会)の投資奨励、米国・タイ修好通商条約(Treaty of Amity)に基づく権利、タイ工業団地公社(IEAT)の許可など、一定の要件を満たす場合には、リスト3の許可義務が免除される場合があります。
リスト3から除外された18業種
タイでは過去10年にわたり、リスト3に含まれる特定のサービス業を外国人事業許可の対象から段階的に除外してきました。これまでに公布された4つの省令により12業種が対象から除外されており、最新の改正は2026年8月に施行された仏暦2569年省令です。この改正では、さらに6業種が新たに除外されるとともに、既存の1区分が拡大されました。これにより、要件を満たす外資系企業が外国人事業許可を申請せずに営業できる業種は、合計18業種となりました。
当初の12業種は、大きく3つのグループに分かれます。1つ目は資本市場・金融サービス(証券、デリバティブ、信託サービス、金融機関業務、生命保険・損害保険、資産管理会社)、2つ目は企業支援の組織形態(駐在員事務所、地域事務所、自社グループ内向けに提供するサービス)、3つ目は、取引の相手方が政府機関または国営企業であるサービス業務です。
2026年の省令では、以下の6業種が新たに対象から除外されました。
タイプワン電気通信サービス(自社の通信網を持たない事業者向け)
トレジャリーセンター(外国為替管理法に基づき、グループの外貨を管理する業務)
グループ共通サービス(自社グループ内の企業に提供する総務・会計・人事・ITサービス)
国内債務保証(自社グループ内の企業を対象とし、国内取引に限る)
金融機器設置用スペースの提供(金融機関がATMや外貨両替機などを設置できるよう構内を賃貸するもの)
LPG許可保有者向けサービス(LPG法に基づく輸送業者・製造業者・小売業者を含む)
さらに、証券・デリバティブの区分も拡大され、証券購入のための貸付、レポ(買戻し条件付き)取引、ならびに為替・金利に連動する取引を含む、デリバティブのディーラー・アドバイザー・ファンドマネージャーとしての業務が対象に加わりました。
免除が意味しないこと
外資系企業にとって最も重要な点は、これらの除外措置が外国人事業許可のみを不要にするものであり、分野別の規制監督までなくすものではない、ということです。証券取引委員会(SEC)、タイ中央銀行(BOT)、保険委員会事務局(OIC)、国家放送通信委員会(NBTC)などが規制する業務では、それぞれの許認可が引き続き必要です。実務上のメリットは、コンプライアンス負担の軽減と設立までの期間短縮であって、完全な自由化ではありません。
グループ関連の免除のうちいくつか(自社グループ内向けサービス、グループ共通サービス、国内債務保証)は、関連当事者テストを満たすことが条件となります。概していえば、株主が共通する場合、いずれかの方向に25%以上の相互持株がある場合、または署名権限を持つ取締役が共通する場合に、企業は関連当事者とみなされます。これらの免除はグループ内での提供に適用されるものであり、無関係な第三者に同じサービスを提供する場合は、引き続き外国人事業許可が必要です。
外国人投資家にとっての位置づけ
タイへの進出を検討する際には、まず自社が外国資本による企業に該当するかを確認し、次に予定している事業がFBAのどのリストに該当するのかを確認することが重要です。
リスト3に該当する場合は、今回対象から除外された18業種に該当するかを確認するとともに、BOIの投資奨励、米国・タイ修好通商条約、IEATの許可など、外国人事業許可(FBL)以外の制度を利用できる可能性についても検討する必要があります。
これらの制度のいずれにも該当しない場合には、必要な登録資本や手続の要件を確認したうえで、FBLの申請準備を進めることになります。事業内容や利用できる制度によって必要な手続やスケジュールが異なるため、タイでの事業開始を計画する段階で、早めに確認しておくことが重要です。
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